審査に通りやすいという自社ローンのメリットとデメリットとは

自社ローンはクレジットカードやカードローンが組めない人でも利用することができる便利な仕組みですが、手数料が高くなってしまうこともあるので、利用する場合には返済までの計画をしっかりと考えてから契約をしましょう。

車を持ちたいと思っても、すべての人がマイカーローンを組めるわけではありません。過去に金融事故を起こしてしまったり、すでに債務が多くなっている状態で、審査に通過することができない人も少なくありません。

そのようなときに購入できる可能性で浮上するのが、販売店が独自に扱っている自社ローンです。自社ローンはどのような仕組みなのでしょうか。

自社ローンは融資ではありません

自社ローン

ローンという言葉が入っているので勘違いされやすいのですが、自社ローンは一般的な金融機関などからの借入とは大きく違っており、融資ではありません。通常の借り入れは申し込み後に信用情報をチェックされ、過去のクレジットカードや他のローン商品の利用実績の確認が行われます。

利用実績が良くなければ契約することができませんが、自社ローンは手数料や保証料を払うことで、販売店が一時的に立て替えをしてくれるサービスです。販売店に対しては借金になりますが、信用情報に登録されることもないため、利用後は決められた金額を販売店に対して返済していく、分割のツケ払いのようなものです。

融資ではないため利用期間に応じた金利は設定されていません。その代わりに購入する車体価格の10?20%程度の手数料や保証料が必要になります。マイカーローンの場合は返済期間が長くなると、支払う利息も大きくなりますが、自社ローンでは返済期間の長さで手数料が変わることがないため、返済計画も立てやすいでしょう。

自社ローンで購入できる車にはどのようなものがある?

扱っている販売店にもよりますが、新車ディーラーではそもそも自社ローンを扱っていないこともあるため、新車は購入できないケースも多いでしょう。中古車販売店では利用できる可能性もありますが、そのルールは店ごとに大きく異なっているため、もし自社ローンを使いたい場合は事前に契約条件をしっかりと読んでから決めるようにしましょう。

一般的なマイカーローンと比較すると返済回数が少なく設定されているものも多く、車体価格にもよりますが、月々の負担額が高額になってしまうこともあります。

新しい車種は中古といえど高額なこともあります。前述のとおり手数料が10?20%程度かかってきますので、本体価格が高いとそれだけ手数料も高額になる点にも注意しなくてはなりません。

中には新車が購入できる販売店もありますので、まずは自社ローンを検討している場合は自社ローンを扱っている販売店をリストアップし、その販売店で扱っている車を調べてみると良いでしょう。独自基準の審査のため、審査に落ちたとしても別の店舗では契約できる可能性があります。

自社ローンのメリットにはどのようなものがある?

信用情報の影響を受けない独自審査を行っていますので、クレジットカードやカードローンを契約することができないような人でも自社ローンは利用できます。特に過去に金融事故を起こしてしまっている人は、5年程度はほとんどの金融商品の審査を通過できない、いわゆる「ブラック」の状態になりますので、自社ローンはそのような人でも車を持つことができる数少ないチャンスと言っても良いでしょう。

マイカローンの契約ができる人でも、高額な借金をすることは信用情報上マイナス評価になります。定期的に行われる途上与信によって、すでにあるクレジットカードやカードローンの限度額が減額される可能性もありますが、自社ローンであれば影響が出てくることはありません。

自社ローンは申込から審査、車の購入手続きをすべて一貫して販売店が行っているため、納車までがスピーディーなのもメリットです。マイカーローンの場合は金融機関と販売店側のやり取りが発生するため、納車までに時間がかかってしまうこともあります。

デメリットと注意しなくてはならない点

自社ローン

利用できる販売店や車種が限られている点はデメリットですが、それ以上に注意しなくてはならないのが、完全に支払いが完了するまでは所有権留保として、車の所有権が販売店にあるという点です。完済するまでは、借りているような状態となるため、もし途中で購入した車を売却したいと思っても自由にすることができません。途中で車を売却するのであれば、残っている残債をすべて支払う必要があります。

短期間で完済する計画の場合は、期間での手数料の割合が高くなることがあります。保証会社を求められた場合はさらに高額になることもあるため、保証人不要の自社ローンを扱っている販売店を探すのが良いです。各店舗によって条件が大きく異なっているので、自社ローンを利用する場合はリサーチをする努力が必要不可欠です。

利用できる上限も低めに設定されていることが多いため、中古でも比較的新しい車種では利用できず、購入できる車種が限られてしまう可能性もあります。車種はいくつかピックアップしてから選ぶと良いです。

自社ローンを利用して問題が起きた事例

自社ローンを利用して問題ができるケースの多くが、所有権についてです。何らかの事情で途中で売りたくなっても、完済するまでは権利が店舗側にあるため、売却することができません。

また、自動車のような高額な資産を担保とした借り入れをすることもできないため、返済中に急にお金が必要になったときに借り入れに使うこともできない他、もし返済中に支払いができなくなってしまうと、車を遠隔でロックされてしまうといったケースもあります。

金融商品のローンは取り立てについても厳しい制限が法律で定められていますが、自社ローンは金融商品ではないため、返済が滞ると直接自宅に訪問されるなどの取り立てに合うこともあります。返済周りでトラブルを起こさないために、購入時点で将来の返済計画をしっかりと立てるようにしましょう。

自社ローンの利用自体とは少し違ってきますが、利用できる車のほとんどが中古車のため、見た目はきれいでも実は整備不良だったというケースも問題になります。購入前に整備状況をしっかりと確認しておくようにしましょう。

どのような人が自社ローンが向いている?

支払う総手数料だけで見れば金融機関のマイカーローンのほうが、圧倒的に支払うコストは安く済みます。しかし金融機関のローンは組むのが難しいため、過去のクレジットヒストリーに不安がある人や、仕事を初めて1年未満で在籍期間が短かったり非正規雇用で働いている人、すでに様々な金融商品の残債があって新規で契約することが難しい人は自社ローンを検討してみても良いかもしれません。

貯金が少なくてもすぐに車を欲しい人にも向いています。家庭の事情などですぐに移動手段が必要となった場合は、車種もある程度我慢して在庫の中から選ぶようにすれば、すぐに車を手にすることができるでしょう。

カーリースでも車に乗ることはできますが、返却時に原状回復費用を請求されたり、走行距離の上限が設定されているものもあるため、利用頻度が高い場合は自社ローンを利用してでも自分のものとして使っていた方が良いです。

特に事故を起こしてしまったときにカーリースでは高額な請求をされることがあります。いずれにせよ店舗によってルールは大きく異なるため、リサーチするのが得意な人は自分にあった自社ローンを見つけられる可能性が高くなります。

まとめ

自社ローン

自社ローンは手数料も高く恐いと思っている人もいますが、契約条件をしっかり理解し、ルールを把握したうえで利用するのであればお得な購入手段の1つです。自社ローンは販売店が独自に用意している仕組みのため、審査の基準や返済回数なども大きく異なります。

自社ローンを利用する場合は取り扱っている店舗をいくつかピックアップし、比較しながら決めていくのが良いです。